S造建築構造設計法改正の効率運用2023年版

1.小規模建築も構造設計資料の15年保存義務拡大へ

2. 中低層建築の大地震後事業継続保証簡易設計法の運用方法

3.接着系あと施工アンカーを新築にも使用範囲拡大

1.小規模建築も構造設計資料の15年保存義務拡大へ

 4号建築および確認申請免除建築(延べ床面積10m2以下)で構造設計資料の提出審査対象外の建築物でも基礎伏図、構造詳細図および構造計算書の15年間保存義務が拡大しました。

令和2(2020)年3月施工の建築士法施行規則改正ためこれ以降の建築物の保管設計図書に構造設計資料も追加する必要があり、業務委託した構造設計者にも設計資料の提出と責任を求められることになりますので、完成後のトラブル対応のため図書の確保と保存が有効です。

2.中低層建築の大地震後事業継続保証簡易設計法の運用方法

 60m以上の高層建築では時刻歴応答解析により、大地震時の使用継続性の判定となる最大応答層間変形角を把握できるが、中低層建築では一次設計と層間変形が把握できない保有水平耐力法により通常設計されているので、下記の簡易的性能設計法がJSCA(日本建築構造技術者協会)から提案されています。

中低層のS造の場合、震度6強の地震時に軽微な破損で収まり、事業継続可能な特級クラスの設計方法として、ラーメン構造に座屈拘束ブレースの追加等により一次設計弾性変位の層間変形角<1/750かつ目標Ds(性能Ds)>0.75を提案しています。

なお、大地震時に小破でおさまり中規模の修繕で事業再開可能に復旧できる上級レベルの設計法として一次設計弾性変位の層間変形角<1/500かつ目標Ds(性能Ds)>0.5を提案しています。

施主から生産設備としての事業継続のため層間変形角の縮小要望がある場合は座屈拘束ブレース構造の導入と大地震時後の損傷評価をこの資料を基に提案するのが有効です。

3.接着系あと施工アンカーを新築にも使用範囲拡大

これまで、耐震改修、既設補強に使用範囲が限定されてきた、あと施工アンカーが令和4年3月の技術的助言により位置調整が必要な鉄骨階段の基部固定アンカーなどに使用できるようになりました。具体的な運用詳細は日本建築防災協会の『接着系あと施工アンカー強度指定申請ガイドライン』が参考になります。

プラント土建設備の架構など従来あと施工アンカーの使用に強度上の不安があり、使えなかった場合でも、このガイドラインを準拠して接着系あと施工アンカーを使用すれば、現場工事の効率化と品質保証を両方確保でき、有効です。

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