腐食した架構の柱・梁材の補修補強方法
1.腐食による断面欠損の事例
工場プラント架構では製造機械からの酸発生や酸性の廃液溜りなどにより、通常の架構より非常に早く腐食が進む場合が多く、特に床下面の柱基部など点検しずらい場所で腐食の発見が遅れて大幅な断面欠損となる場合がある。またこの状態で地震水平力などが加わり残存フランジプレト部材の座屈により柱位置が10mm程度ずれる現象も稀に発生します。
ただし、このような腐食により倒壊や大きな傾き変形が発生している事例はほとんど見られず、残存した柱部材(元断面の5%以下)でも鉛直方向の支持力を確保して架構全体として安定している場合が多いので、どのような荷重応力状態で安定しているのか解析してみました。
例として上層階を支持する柱材H350X150X10X15が腐食と座屈によりフランジ部の2-100X8mm程度のみ残っていルケースで、残存有効断面積は16cm2で柱反力が2t(積載荷重200kg/m2x10m2)では残存柱応力は2000÷16=125kg/cm2となり、長期許容応力の1600kg/cm2をかなり下回っています。
さらに、座屈変形による偏心(1cm)がある場合は、曲げモーメント(1000kgx1cm)による応力は弱軸断面係数1.07cm3を除して934kg/cm2となるので、合計応力は1059kg/cm2程度となり、長期許容応力1600kg/cm2をやや下回って安定していると推測されます。ただし、地震時などの水平力が加わると柱基部腐食部にもラーメン基部の曲げモーメントが発生するので、大きな変形が発生する懸念があります。
2.簡易補修方法
次に中地震時にも倒壊せずに安定を維持するには鋼板プレートの溶接補強が施工も簡易で効果的です。
柱の座屈部および偏心ずれはそのままの状態で、腹板にリブ付きの12mm鋼板を挟み込みます。リブはブレースガセットの役割も兼用し、形状を保持します。
補強後の柱の断面係数は2x12mmx200mmの挟み込みプレートの160cm3確保でき、地震時(水平震度x0.2)の中地震では2000kgx0.2=400kgの水平力がラーメン形状の柱頂部に加わり、屋根高さ300cmのモーメント400x300kgcmのモーメントの半分の40%を柱基部が負担すると、補強部材の発生応力は300kg/cm2程度となります。
溶接部を9mm隅肉とすると概ね二倍の600kg/cm2の溶接部応力となり許容応力800x1.5 kg/cm2以下となります。
柱基部の変形を残したまま、腹板をプレート補強した後、フランジ部を外側からプレート補強しますが、破談した柱基部フランジと一階柱頂部トッププレートの一体化は難しく断面性能上は考慮しません。
3.簡易耐震補強方法
2の簡易補修だけでは、鉛直方向耐力は回復していますが、柱・梁ラーメン構造は復旧されていないため、概ねピン接続相当の構造モデルのため建設時の水平耐力には復旧されていません。概ね建設時の20%から40%程度の水平耐力である場合が多いです。このため下記の耐震補強により、水平耐力の向上が必要です。
①ブレース増設により桁行方向(ブレース構造)の水平耐力を向上させる。
②梁間方向(ラーメン構造)で柱梁コーナー部の方杖の増設や逆V字ブレースにより建設時ラーメン構造からピン構造に低下した水平耐力を保管する。

